牛すじの下処理方法――やわらかく仕上げる基本技とレシピを紹介
牛肉の中でもアキレス腱など、筋張った部位の肉を集めた牛すじ。
居酒屋などによくある「おでん」や「牛すじ煮込み」をはじめ、トロトロ食感がたまらない部位ですが、独特のくさみと肉質の硬さから、家庭でおいしく調理するのは難しい、面倒といったイメージを持っている人もいると思います。
もちろん、牛すじをおいしく食べるには下処理が欠かせません。しかし、料理家の風間章子さんによると、「よくいわれるほど難しくはない」とのこと。
そこで、家庭でも簡単にできる牛すじの下処理の手順と、下処理を終えた牛すじを活用する絶品レシピを風間さんに教えていただきました。
教えてくれたのはこの人!
風間章子(かざま あきこ)
料理家/調理師
イタリアンレストランで6年間修行した後、カフェを立ち上げ、雑誌やウェブなど、さまざまなメディアにて料理監修で活躍。これまで、4店舗のカフェの料理メニューの立ち上げを行う。料理の技術向上はもちろん、料理の楽しさを伝えることを目的とし、料理の撮影や料理教室を開催するキッチンスタジオ「人形町キッチン」を運営。わかりやすい説明と気さくな人柄で、好評を得ている。
Twitter:@ACCO_kzm
トライアルでの販売価格
国産牛すじ/100g…199円(税込)
※2023年6月 メガセンター八千代店調べ。
※トライアルの商品はすべて税込表示です。
※販売価格は時期や産地によって変動します。
牛すじの基本の下処理方法
牛すじの下処理をうまく行うには、「茹でこぼし」と「下茹で」の2段階が必要です。
時間はかかりますが、工程のほとんどは火にかけておくだけなので難しいことはありません。
材料
牛すじ…500~1,000g
生姜(皮付きのまま薄切りにする)…大きめ1片分
長ネギの青い部分(5cm幅に切る)…1本分
1. 鍋に牛すじと水を入れ、火にかける
大きめの鍋に牛すじと、牛すじがかぶるくらいのたっぷりの水を入れ、強火で煮立たせます。
お店によっては、牛すじを冷凍した状態で販売しているケースもあります。
冷凍の牛すじを購入したときは、流水で解凍してから下処理に移りましょう。
2. 沸騰したら弱火で2~3分茹でる
沸騰したら火を弱め、ふつふつと沸き立つ程度の火加減で2~3分茹でます。
このときにたくさんアクが出ますので、吹きこぼれないように注意してください。
3. ぬるま湯でアクや余分な脂分を洗い流す
「2」をザルに上げ、ぬるま湯(40℃前後)で牛すじについたアクや余分な脂分を洗い流します。
このときに水で洗うと脂が冷えて固まってしまうため、必ずぬるま湯で行うようにしましょう。
手のひらを使って優しく揉むように洗うと、牛すじの隙間に入ったアクや脂がしっかり取れますよ。
4. 食べやすい大きさに切る
牛すじを食べやすい大きさ(3cm幅くらい)に切ります。
牛すじは茹でると縮むため、茹でる前に切ると小さくなりすぎてしまうかもしれません。
よって、茹でた後に切ったほうがいいでしょう。
5. 鍋に牛すじ、水、生姜、長ネギを入れて火にかける
茹でこぼしに使った鍋をきれいに洗い、その中に「4」の牛すじと、牛すじがかぶるくらいたっぷりの水、皮付きのまま薄切りにした生姜、5cm幅に切った長ネギの青い部分を入れ、強火で煮立たせます。
生姜や長ネギを入れるのは、牛すじのくさみを取るため。
長ネギの青い部分がなかったら、生姜の薄切りだけでも大丈夫ですよ。
6. 弱火で1時間程茹でる
沸騰したら火を弱め、ふつふつと沸き立つ程度の火加減で1時間程茹でます。
最初はアクが出てくることもあるので、その場合は丁寧にすくって取り除きましょう。途中でお湯が減ってきたら差し湯をし、牛すじが常にお湯に浸かっている状態にしてください。
7. 牛すじをぬるま湯で洗う
「6」をザルに上げ、生姜と長ネギを取り除いたら、再びぬるま湯で牛すじについたアクや余分な脂分を洗い流します。
「3」のときと同様に、手のひらで優しく揉むようにし、牛すじの隙間に入ったアク、脂、生姜、長ネギを取り除きましょう。
8. 調理、もしくは保存する
下処理した牛すじをすぐに使わない場合は、冷凍保存がおすすめです。
小分けにしてジッパー付き保存袋に入れ、空気をしっかり抜いてから封をして冷凍庫へ。保存期間の目安は約1ヵ月です。
また、冷凍した牛すじは、流水で解凍してから調理するようにしてください。
牛すじを購入するときは「量」に注意!
下処理が済んだ牛すじは、余分な脂分が抜けるため、重さは生のときより4分の3程度減ります。
調理に使う分量が決まっている場合は、そのことを考慮して牛すじを購入するようにしましょう。
牛すじを使ったおすすめレシピ
下処理後は、いよいよ調理に取りかかりましょう!
定番の煮込みをはじめ、牛すじの絶品レシピを風間さんに教えていただきました。
牛すじ煮込み
材料(作りやすい分量)
牛すじ(下処理済みのもの)…200g
大根…150g
ニンジン…40g
コンニャク…130g
長ネギ…3分の1本
七味唐辛子(お好みで)…適量
[A]
だし汁…500ml
酒…大さじ3
醤油…大さじ3
みりん…大さじ2
砂糖…大さじ1
作り方
1. 牛すじは食べやすい大きさに切る。大根とニンジンは3mmの厚さでいちょう切りに、コンニャクは色紙切りに、長ネギは小口切りにする。
2. 鍋に「1」とだし汁を入れて火にかけ、沸騰したらアクを取りながら5分程煮る。
3.[A]を加え、落とし蓋をして中火で20分程煮る。
4. 20分程煮たら、落とし蓋を取って長ネギを加え、煮汁が1cm程度になるまで強火で煮詰める。
5. 器に盛り、お好みで七味唐辛子を振る。
具材全体に煮汁が回るように、調味料を加えた後は必ず落とし蓋(クッキングシートやアルミホイルを代用しても◎)をしてください。
余った牛すじ煮込みは卵とじにしたり、うどんを入れて煮込んだりと、いろいろな料理にアレンジできますよ!
牛すじのネギ胡椒炒め
材料(2人分)
牛すじ(下処理済みのもの)…150g
長ネギ…2分の1本
ニンニク(すりおろし)…小さじ3分の1
ごま油…大さじ1
[A]
酒…大さじ2
みりん…大さじ2分の1
塩…小さじ2分の1
コショウ…適量
作り方
1. 長ネギは斜め薄切りにする。[A]は混ぜ合わせておく。
2. フライパンにごま油とニンニクのすりおろし、長ネギを入れて火にかけ、香りが出てきたら牛すじを加えて炒める。
3. 全体に油がなじんだら混ぜ合わせた[A]を加え、水分がなくなるまで強めの中火で炒める。
炒める際は、牛すじを加える前にニンニクと長ネギの香りをごま油にしっかり移すのが、おいしく仕上げるポイントです。
コショウを多めに入れると、お酒のおつまみにもピッタリな大人の味わいになりますよ。
牛すじとナスのカレー
材料(3人分)
牛すじ(下処理済みのもの)…200g
ナス…2本
玉ねぎ…2分の1個
エリンギ…80g
トマト…1個
サラダ油…大さじ1
水…400ml
オリーブオイル…大さじ2
塩…ひとつまみ
カレールー(フレークタイプ)…90g(固形タイプの場合は50g)
ご飯…適量
作り方
1. 玉ねぎはくし切りに、エリンギは半分の長さに切ってから厚めの短冊切りにする。トマトはざく切りにする。
2. 鍋にサラダ油を入れて熱し、玉ねぎ、牛すじ、エリンギの順に炒める。
3.「2」に水とトマトを加え、アクを取りながら弱めの中火で10分程煮込む。
4. ナスを半分の長さに切り、くし切りにする。オリーブオイルを引いたフライパンで焼き色がつくまで焼き、軽く塩を振る。
5.「3」の火をいったん止め、カレールーを加えて溶かしたら再び火をつける。焦がさないように時々混ぜながら、弱めの中火で10分ほど煮込む。
6.「5」に「4」のナスを加え、さらに5分程煮込んだら完成。皿に盛ったご飯にカレーをかける。
下処理の済んだ牛すじは、すでに火が通っているので調理時間を短縮できるのがメリット。
今回は根菜を使っていないこともあり、長時間煮込む必要はありません。
牛すじを購入するなら、新鮮な肉がそろうトライアルで
「茹でこぼし」と「下茹で」をしっかり行えば家庭でも簡単に下処理ができる牛すじですが、そもそも店頭で見かける機会が少ないと感じる人も多いのではないでしょうか。
牛すじは一頭から取れる量が少ないため、お店によっては仕入れてもすぐに売り切れてしまうほか、仕入れ自体行われていないこともあります。
ですが、牛を一頭買いしているトライアルなら牛すじも比較的手に入りやすく、お手頃価格で販売しています。
ご家庭で牛すじ料理を作る際には、ぜひトライアルで新鮮な牛すじを手に入れてください!
トライアルの肉が安くておいしい理由は?鮮度&安心安全へのこだわり