玉ねぎに含まれる栄養は?効果的な摂り方、アレンジレシピを紹介
炒め物や煮物、スープなど、どんな料理にも合う万能な食材である「玉ねぎ」。でも、どのような栄養があるのか、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。さまざまな栄養素を持つ玉ねぎですが、生食か加熱して食べるかによって含まれる栄養素が変化することも。
玉ねぎを食べることで得られる効能や効果、また効果的な摂取の仕方やおすすめのレシピについて、トライアルの惣菜部門を担う明治屋の杠和憲シェフと管理栄養士の松ノ内花香に教えてもらいます。
株式会社明治屋 和食料理シェフ 杠和憲
福岡を中心に、中洲せいもん払い・久原本家・御料理・茅乃舎等で和食を中心に学び、様々な食材を調理。創作料理のスキルを生かし、商品開発を担当。
株式会社明治屋 管理栄養士 松ノ内花香
株式会社明治屋商品部で惣菜の商品開発を担当する。
玉ねぎに含まれる栄養とは?
サラダや炒め物、煮物、スープやカレーなど、あらゆる料理で活躍する玉ねぎ。とても身近な食材である玉ねぎには、いったいどんな栄養素が含まれているのでしょうか?代表的な成分を紹介していきましょう。
玉ねぎに含まれる主な栄養素の含有量:100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
カロリー | 36kcal |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 水溶性食物繊維 | 0.6g |
炭水化物 不溶性食物繊維 | 1g |
ナトリウム | 2mg |
カリウム | 150ml |
ビタミンC | 7㎎ |
カルシウム | 17㎎ |
鉄 | 0.3㎎ |
ビタミンB6 | 0.14㎎ |
マグネシウム | 9㎎ |
1.血液をサラサラにする硫化アリル
松ノ内:玉ねぎを刻むと、涙が出てくることはありませんか?これは、玉ねぎに含まれる硫化アリルという成分の刺激によるものです。
硫化アリルは玉ねぎのほかに、ニラやニンニク、ネギなどにも含まれています。この硫化アリルの細胞が刻まれることによって空気中に漂い、涙腺が刺激されて涙が出てくる、という仕組みです。独特の香りや辛味のもととなる成分ですが、実はとても大切な栄養素。血液をサラサラに保つ効果や殺菌作用もあるので、風邪などの感染症予防に役立ちます。
2.抗酸化作用が期待できるケルセチン
松ノ内:外皮に近い部分には、ケルセチンという栄養素が多く含まれています。ポリフェノールの一種で、抗酸化作用や動脈硬化の予防として効果が期待できます。
硫化アリル・ケルセチンのどちらの栄養素も、健康を維持したい方や生活習慣病が気になる方にとっては欠かせないものなので、毎日の食事に取り入れて健康な体を守っていきましょう。
玉ねぎを食べることで期待できる効果は?
では、玉ねぎを食べることでどんな効果が得られるのか、詳しく紹介します。
血液サラサラ
松ノ内:辛味成分である硫化アリルの一種に、アリシンという成分があります。このアリシンは血行を促進する作用があり、血液をサラサラにする効果が期待できます。血液が固まりやすくなるのを防ぐので、血栓の予防にもなります。
疲労回復
松ノ内:アリシンにはビタミンB1の吸収を高める効果があり、疲労回復にとても有効です。疲労感を感じやすい方は、ビタミンB1を多く含む豚肉やカツオなどと一緒に玉ねぎを合わせて調理するのがおすすめです。
抗菌作用
松ノ内:アリシンには抗菌作用もあります。サルモネラ菌や病原性のカビ、チフス菌やコレラ菌などにも有効だといわれています。習慣的に摂取することで免疫力もアップするので、風邪などの感染症予防にも役立ちます。
動脈硬化の予防
松ノ内:アリシンには悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きが期待されています。動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールに働きかけてくれるのが大きなメリット。また、ケルセチンもコレステロール値を下げてくれる作用があるので、ダブルでうれしい効果です。
むくみ解消
松ノ内:玉ねぎに含まれるカリウムは、体内のナトリウム濃度を抑え、水分を体外へ排せつする働きがあるので、塩分の摂りすぎによるむくみの解消にもつながります。
このように、玉ねぎには私たちの健康を守ってくれる効果がたくさん。中でも、血液サラサラや抗菌作用、動脈硬化の予防など、多くの効能が期待できるのがアリシンです。独特な辛味とにおいの成分の裏側には、驚くほど多くの健康効果があることが分かりました。
玉ねぎの栄養を逃がさない食べ方は?
玉ねぎの効能が分かったところで、次に気になるのは効果的な食べ方。実は調理法によっては、その栄養を逃してしまうこともあります。どんな方法が効果的に栄養を得られるのか、見ていきましょう。
辛味を抜くなら空気に触れさせる
松ノ内:サラダなど生で食べるときは辛味を抜くため、水にさらす方も多いと思います。ですが水にさらすと、水溶性のアリシンが流れ出てしまいます。栄養を逃すことなく辛味を抜くには、空気に触れさせること。薄くスライスした玉ねぎを広げ、10分ほど空気にさらすことで辛味が抜けていきます。
血液をサラサラにしたいなら生で
松ノ内:アリシンは熱に弱い成分です。血液サラサラ効果や抗菌作用、動脈硬化の予防を期待するなら、生で食べるのがおすすめです。スライスしてサラダにしたり、みじん切りにしてドレッシングにしたりして活用してみてください。
天日干しでケルセチンが倍増
松ノ内:抗酸化作用があるケルセチンを効果的に摂るには、油を使った炒め物がおすすめです。ケルセチンは皮の近くに多く含まれるので、皮のむきすぎに注意しましょう。
また、ケルセチンは日光に当てると増えるので、天日干しすると効果が増大。皮がついた状態のまま、1週間くらい干すとケルセチンが4倍に増えるといわれています。皮をむいて、緑の線が見えていればケルセチンがアップしている証拠です。
玉ねぎを食べ過ぎてしまった…1日の摂取量はどれくらい?
健康にうれしい玉ねぎですが、食べれば食べるほどいいのでしょうか?実は、食べすぎてしまうと体に悪影響を及ぼすこともあるといいます。
松ノ内:アリシンには強い抗菌作用があるので、食べすぎると胃や腸が強い刺激を受けてしまい、下痢や腹痛を引き起こしてしまう可能性があります。また、吐き気や頭痛につながることもあります。
生玉葱の摂取の目安としては1日50g程度とされていて、中くらいの玉ねぎの1/4個ほど。お子さまはこの半分の25g程度です。あくまでも目安なので、体調を見ながら問題のない範囲での摂取を心がけましょう。
玉ねぎを長持ちさせる保存方法とは?
松ノ内:玉ねぎは湿気に弱い食材です。湿気から守って乾燥させることが大事なので、湿度が低いときは常温でいいですが、高いときは冷蔵庫で保存しましょう。
また、保存する際には、新聞紙にくるむと玉ねぎ同士がぶつかって傷みづらくなります。半分に切ったものは、水分が抜けてしまわないよう皮付きのまま保存を。
調理がしやすいように、切って冷凍保存することも可能です。繊維が壊れるので味が染み込みやすくなるというメリットもあります。ただシャキシャキ感は失うので、サラダには不向きです。その場合は加熱して食べるようにしてください。
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