オクラの栄養パワーとは?生と茹での違いやヘルシーな簡単レシピも
夏に一番おいしい時期を迎えるオクラ。
ネバネバ食材を代表する野菜ですが、その食感だけでなく、整腸や抗酸化、疲労回復などの効果が期待できる栄養価の高さにも注目したいところです。
管理栄養士の清水加奈子さんに、オクラに含まれる栄養素やその効能、食欲が落ちやすい夏でもさっぱり食べられる、オクラを使った栄養満点のスープのレシピなどを伺いました。
教えてくれたのはこの人!
清水加奈子(しみず かなこ)
フードコーディネーター/管理栄養士
調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
公式サイト
トライアルでの販売価格
オクラ(1パック)…99円(税込)
※2024年6月 スーパーセンター藤沢羽鳥店調べ。
※トライアルの商品はすべて税込表示です。
※販売価格は時期や産地によって変動します。
目次
オクラに含まれる栄養素は?
オクラはとても栄養価の高い野菜。中でも注目すべき栄養素をご紹介します。
脂溶性ビタミン
ビタミンには水に溶けやすい水溶性と、油脂に溶けやすい脂溶性の2種類がありますが、オクラにはビタミンK、ビタミンE、ビタミンA(β-カロテン)の脂溶性ビタミンが豊富に含まれます。
ビタミンKは、健康な骨を作るのに欠かせない栄養素のひとつ。
ケガをして血が出たとき、時間が経つと止まりますが、その血液凝固因子を活性化するのにも必要な栄養素です。
そしてビタミンEは、不飽和脂肪酸や血液中のHDL(善玉)コレステロールの酸化を抑えたり、末梢血管を拡張させて血流を改善したりする働きがあります。
さらにビタミンA(β-カロテン)は、代表的な「抗酸化ビタミン」。
体内の活性酸素を除去して皮膚を丈夫にするほか、視覚機能を維持する役割もあります。
水溶性ビタミン
水溶性ビタミンのひとつである葉酸は、ビタミンB12と共に赤血球を作るのを助けます。
赤血球は4ヵ月程度で死滅しますが、葉酸が不足すると正常な赤血球が作られず、貧血を引き起こすリスクが高まる可能性があります。
ミネラル
オクラは、野菜の中でもカルシウムやマグネシウム、カリウム、マンガン、銅といった、さまざまなミネラルが含まれています。
中でもカルシウムやマグネシウム、マンガンは、すべて骨や歯の形成・強化に不可欠な栄養素。
カリウムは余分なナトリウム(食塩に多く含まれる栄養素)を排出し、血圧を正常に保つ働きをしているほか、銅は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶのを助けます。
食物繊維
オクラのネバネバの主成分である、水溶性食物繊維のペクチン。
オクラには100gあたり1.4g含まれており、これは一般的にペクチンが多いといわれるリンゴの約3倍となります。
ペクチンは、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあるほか、血中コレステロールの吸収や血糖値の上昇を抑える作用も。
オクラに期待できる効能
オクラに含まれる栄養素は、1日の摂取量に対する充足率が高いものが多く、健康・美容などにつながる効果が大いに期待できます。
ここでは、特に期待できる効能をご紹介しましょう。
美肌効果
肌の健康を保つために必要なのは、体の機能を衰えさせる活性酸素を取り除く抗酸化作用。
ビタミンA(β-カロテン)やビタミンEは抗酸化力が強く、皮膚の老化を防止して肌の潤いを保ち、シミやしわ、たるみができるのを予防します。
また、銅は活性酸素を分解する作用がある上、多くの酵素成分となって丈夫な肌を作り、肌のハリ・弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成に関わる栄養素です。
貧血予防
オクラに含まれる葉酸は、ビタミンB12と共に「造血のビタミン」と呼ばれる栄養素。
赤血球のもとになる赤芽球(せきがきゅう)を作り、正常な造血を促します。
さらに、銅も赤血球に含まれるヘモグロビンを合成します。 銅がなければヘモグロビンを作ることができないため、銅もしっかり摂取しましょう。
骨粗しょう症予防
骨粗しょう症は、骨の量が減って弱くなり、骨折しやすくなる病気。
主に加齢によって発症しやすくなるといわれていますが、ダイエットや運動不足、喫煙などによって、年齢にかかわらずリスクがあるので注意が必要です。
オクラには、骨や歯の形成・強化に関わる栄養素が豊富なため、骨粗しょう症予防におすすめの食材といえます。
オクラに含まれるカルシウムは骨や歯の主成分で、マグネシウムはカルシウムを骨に沈着させるために必要です。
また、ビタミンKやマンガンは、古い骨を壊して新しい骨を作る「骨代謝」を行う細胞の正常化、酵素の活性化に寄与。骨からカルシウムが排出されるのを防ぐ働きもあります。
整腸作用
野菜の中でも、水溶性食物繊維のペクチンが多く含まれるオクラ。
ペクチンは、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えるほか、水に溶けるとゼリー状になるため、便をやわらかくしてスムーズな排便を促す効果も期待できます。
感染症予防
ペクチンによって腸内環境が整えられると、免疫機能も改善されます。
人間の免疫細胞の約70%があるといわれている腸内のバランスがいいと、免疫細胞も活性化され、ウイルスや病原菌から体を守り、健康を維持することにつながるのです。
また、免疫機能は、体内の活性酸素が増えると低下するといわれています。
そのため、オクラに多く含まれる抗酸化力の高いビタミンA(β-カロテン)やビタミンEも、積極的に摂取したい栄養素です。
オクラは生と茹でたもので栄養価に違いはある?
オクラは、生でも茹でたものでも、大きく栄養価に違いはありません。
茹でるなどしたときに栄養素の流出が気になるのは、主に水溶性ビタミンや水溶性食物繊維、カリウムです。
しかし、オクラは種表面の細胞構造がしっかりしているため、水分が流出しづらい特徴があります。
そのため、オクラを茹でこぼしても、葉酸をはじめとした水溶性ビタミンのビタミンB群、水溶性食物繊維のペクチンといった栄養素は、水分と共に流れ出にくいといえるでしょう。
オクラの栄養素を効率的にとる食べ方・調理方法
続いては、オクラに含まれる栄養素を余すことなくとるための食べ方と、調理方法について見ていきましょう。
加熱するならサッと茹でるor電子レンジを使う
オクラは茹でても、生のものと栄養素の含有量に大きな違いはないとご説明しましたが、やはり茹ですぎると、水溶性の栄養素は流れ出てしまいます。
食感を残す意味でも、茹で時間が長くなると柔らかくなりすぎておいしくなくなりますので、サッと40秒程度湯通しするのに留めてください。
もしくは、オクラを耐熱容器に入れてふんわりラップをし、600Wの電子レンジで40秒程度加熱するのもおすすめです。
オクラの最適な茹で方&茹で時間をプロが解説!レンジでも◎な方法も
なお、サラダなどでオクラをカットして使う場合は、栄養素の流出を防ぐため、加熱してからカットするようにしましょう。
スープのような汁ごと食べるメニューの場合は、カットしてから加熱してもOKです。
小口に切ってネバネバを出す
オクラのネバネバを形成しているのは、水溶性食物繊維のペクチンと、ネバネバの骨格を作る糖たんぱく質です。
オクラを小口に切り、ネバネバをたっぷり出すことでペクチンがどんどん表に出て、その栄養価が高まる上、消化も促進されます。
油といっしょに調理する
オクラに含まれるビタミンA(β-カロテン)、ビタミンE、ビタミンKといった脂溶性ビタミンは、油といっしょに調理することで吸収力が高まります。
そのため、炒め物に加えたり、天ぷらなどの揚げ物にしたりするのがおすすめです。
ほかのネバネバ食材と合わせる
オクラのほかにも、納豆や長芋、めかぶなどのネバネバ食材は、食物繊維が豊富。
オクラと共に、ほかのネバネバ食材も合わせて多種の食物繊維をとると、整腸作用や消化促進の相乗効果が期待できます。
また、たんぱく質は食物繊維の吸収を助ける役割があるので、肉や魚などたんぱく質を含む食材と合わせるのも◎。
オクラのとろみが食欲をそそる「オクラとささみの冷やしとろとろスープ」
ここからは、オクラを使った清水さんのオリジナルレシピをご紹介。
ささみの出汁とオクラのとろみで優しい味わいに仕上げたスープです。
材料(2人分)
オクラ…8本
鶏ささみ…2本
酒…大さじ1
梅干し(大粒)…1個
塩…少々
作り方
1. オクラは塩(分量外)を少々振り、まな板の上で転がして産毛を取ってから小口切りにする。梅干しは種を取り、粗く刻む。
2. 小鍋に水(分量外)、ささみ、酒、塩を入れて火にかけ、沸騰したら火を弱めて2分ほど茹でる。鍋からささみを取り出し、粗熱がとれたら手で裂いておく。
3. ささみの茹で汁のアクを取り、再び火にかけて煮立ったらオクラを入れ、すぐに火を止める。刻んだ梅干しと塩を加える。
4. オクラを余熱で加熱。粗熱がとれたら冷蔵庫に入れる。しっかり冷えたら、ささみといっしょに器によそって完成!
梅干しは、酸味が食欲を増進してくれるだけでなく、ミネラルなども豊富に含まれているので、夏の暑い時期にぜひとりたい食材のひとつです。
スープ自体は、ささみの出汁と塩だけでさっぱりとした味に仕上げていますので、お好みでキノコ類や山芋、すりごまなどの食材を入れて、自由にアレンジを楽しんでくださいね。
ささみの茹で方、レンジ加熱の方法は?きれいな筋取りの仕方も紹介
おいしいオクラの選び方
おいしいオクラを選ぶには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
スーパーなどでオクラを購入する際は、角が張っていて立派な物を選びたいと思うかもしれません。
しかし、清水さん曰く、なるべく小さくて角が張っていない物を選んだほうが、やわらかくておいしいとのこと。
また、色はきれいなグリーンで、表面の産毛が均一な物がおすすめなので、参考にしてみてください。
オクラの適切な保存方法
汁物や炒め物など、さまざまな料理に活躍するオクラですが、日持ちしにくいのが難点。
一度に使いきれないことも少なくありません。
保存する際に一番気をつけないといけないのは、低温と乾燥です。
すぐに使わない場合は、買ったときのネットに入れたままキッチンペーパーに包み、さらにポリ袋に入れて野菜室で保管しましょう。
ただ、それでもすぐに黒ずんできてしまうので、冷凍保存もおすすめです。
硬めに塩茹でして、ラップに包んで冷凍すれば、1ヵ月程度は保存できますよ。
トライアルなら旬のオクラがいつでもお手頃価格!
おいしいだけでなく、栄養満点のオクラ。
小さい実の中に、これほどたくさんの栄養素が含まれていることに驚きますよね。
トライアルでは、旬の新鮮なオクラがいつでもお手頃価格でそろっています。
胃に優しく、肌ダメージにも作用するオクラのパワーで、この夏を乗り切りましょう!
野菜・果物など毎日食べたいトライアルの青果、鮮度と味へのこだわり