
海のミルク「牡蠣」の栄養は?不足しがちな亜鉛がとれるレシピも紹介
濃厚でクリーミーな味わいが人気の牡蠣。旬を迎えるこの時期は、産卵に備えて栄養を蓄えているため、身が丸々としていて味も濃く、おいしさがいっそう増します。
そこで今回は、フードコーディネーターの清水加奈子さんに、牡蠣の栄養素や女性にうれしい美容効果のほか、購入後の保存法について教えていただきました。さらに、牡蠣の栄養を余さずとれる、清水さんオリジナルのレシピもご紹介します。

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牡蠣は美肌や美髪づくりに欠かせない亜鉛が豊富!
栄養が豊富なことから、“海のミルク”とも呼ばれる牡蠣。中でも、亜鉛は可食部100gあたり14mgと、食品の中でもトップクラスの含有量を誇ります。
「亜鉛には細胞の新陳代謝を活性化する働きがあります。肌や骨、髪の新陳代謝を促進するため、美肌や美髪づくりに欠かせない栄養素のひとつです。さらに、女性ホルモンの分泌も促します」
日本人は、亜鉛不足の傾向にあるといわれています。特に、普段からコンビニエンスストアのお弁当やインスタント食品など加工品を多く食べている人は、それらに含まれる亜鉛の吸収を阻害する食品添加物によって、亜鉛の吸収率が下がることも考えられるので注意が必要。
今、ギクリとした人こそ、牡蠣を積極的に食べてほしいもの。なぜなら牡蠣には、厚生労働省が定めた1日の推奨摂取量(成人男性10mg、成人女性8mg)をカバーする量の亜鉛が含まれているからです。
「身が大きい牡蠣は、アサリやシジミといったほかの貝類に比べて、栄養素が効率良くとれるのも魅力です。亜鉛不足が心配な人は、意識して食べることをおすすめします」
ビタミンB12や鉄分の働きで血のめぐりを改善
また、牡蠣に含まれるビタミンB12や鉄分、銅には血液を作る働きがあります。血液が不足すると、全身に酸素が行き渡らない状態に。そうすると、細胞の新陳代謝も促されないため、肌や髪が傷みやすくなるだけでなく、冷え性や貧血といった症状につながる場合もあるのです。
「ビタミンB12や鉄分には、血液中のヘモグロビンの合成を促す作用があります。また、銅は、鉄分がヘモグロビンを作り出すときに必要になる成分です。体内に十分な量の鉄分があっても、銅がなければヘモグロビンを合成できません。
女性の場合は特に、月経の影響で血液が不足しがち。血液を作るのに必要な栄養素が含まれている牡蠣は、まさに女性の味方となる食材といえるでしょう」
ただし、これらの成分を効率良く摂取するためには、食べ方に気をつける必要があるそう。
「鉄分は、体内に吸収されにくい成分です。そのため、吸収を促すビタミンCやたんぱく質といっしょにとるといいですね。
生のまま食べるか、鍋や煮込みなどに使ってスープも飲み干すと、豊富な栄養素を余すところなく摂取できますよ」

スーパーで牡蠣を選ぶときのポイントは?
スーパーなどの店頭では、剥き身の状態で売られていることが多い牡蠣。おいしい牡蠣を見分けるには、どのような点に注目すればいいのでしょうか。
「剥き身の場合は、身が大きくてクリーム色をしていること、貝柱が半透明であることが新鮮な証拠です。加えて、外側のヒダが黒く大きい物がいいとされています。
殻つきの牡蠣は見分けが難しいですが、口がしっかりと閉じているほか、持ったときにずっしり重い物を選ぶのがおすすめです」
牡蠣を買った後は、消費期限内に食べきるのが基本。一度に使いきれず余ってしまった場合は、次のような方法で保存しましょう。
「剥き身は3%の塩水に浸して冷蔵庫で保存すれば、翌日までもちます。もう少し長く保存したい場合は、冷凍で保存しましょう。保存容器に入れて塩水ごと冷凍するか、あるいはしっかり水気を拭いて1つずつラップをして冷凍すれば、2週間程度は保存が可能です。ただし、解凍後の生食はNG。必ず加熱してから食べてください。
このほか、しっかり火を通した牡蠣をオイル漬けにすることで、2週間程冷蔵保存ができます。オイル漬けにしておくと、パスタソースなどにすぐ使えるので便利ですよ」
牡蠣を食べるときは、食中毒にも注意したいところ。消費期限内に食べるのはもちろんのこと、調理する際は調理道具をほかの食材と分けるなど、できるだけ配慮しましょう。
牡蠣の旨みを丸ごと凝縮!「牡蠣とホウレンソウのクリーム煮」

ここからは、清水さんオリジナルの牡蠣を使ったレシピをご紹介!牡蠣の栄養素を余さずとれる「クリーム煮」で、体の芯から温まりましょう。
トライアルの販売価格
牡蠣(生食用/1パック)…299円
※2021年10月 スーパーセンター長沼店調べ
※トライアルの商品はすべて税込表示です
※販売価格は時期や産地によって変動します
材料(2人分)
生牡蠣(剥き身)…200g
玉ネギ…4分の1個(50g)
ホウレンソウ…2分の1束(100g)
パプリカ(赤、黄)…各4分の1個
小麦粉…大さじ1
オリーブオイル…大さじ1
塩、こしょう…少々
[A]
豆乳…200ml
顆粒コンソメ…小さじ1
水…100ml

作り方
1. 生牡蠣はザルに入れ、塩少々(分量外)を入れた水にひたして5~6回振り洗いし、水気をしっかり拭き取る。

2. ホウレンソウはさっと下茹でした後、長さ4cmに切りしっかり水気を取る。パプリカは乱切りにする。玉ネギはスライスする。

3. フライパンにオリーブオイルを熱し、牡蠣を両面焼いたら一度取り出す。

4. 「3」のフライパンに玉ネギ、ホウレンソウ、パプリカを入れて炒めたら、小麦粉を加える。粉っぽさがなくなったら[A]を加え、強めの弱火で5分程度煮る。


5. 「4」に牡蠣を戻して軽く煮込む。塩、こしょうで味を調えたら完成!

牛乳ではなく豆乳を使うことであっさりとした味わいになるほか、豆乳のたんぱく質が牡蠣の鉄分の吸収をアップしてくれます。
一度取り出した牡蠣から汁が出た場合、その汁に旨みや栄養素が溶け出しているので、「5」の工程で牡蠣をフライパンに戻すときは、汁ごと入れるようにしましょう。
乾燥や冷えの改善にも作用する牡蠣をトライアルで!
冬は、乾燥による全身のかさつきや手足の冷え、年末年始の食べすぎによる体重の増加などが気になる人も多いと思います。
「牡蠣は、それらすべてに作用する栄養が豊富に含まれている優秀な食材。今回ご紹介したクリーム煮や牡蠣鍋のほか、フライやバター炒めなどにしてもいいですね」
牡蠣は、一年中流通している食材ですが、旬を迎えたこの時期の味わいは格別です。新鮮でおいしい牡蠣を、トライアルの店頭でぜひお買い求めください!

監修者プロフィール
清水 加奈子
フードコーディネーター/管理栄養士
調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
フードコーディネーター清水加奈子について