無投薬!鹿児島の湧水で育った「旨水(うまみ)の鰻」【後編】
土用の丑の日は、国産鰻(うなぎ)が食べたい! この時期、トライアルで売り出されるのは「旨水(うまみ)の鰻」。養殖では実現不可能ともいわれていた「完全無投薬」で育てた国産鰻です。後編は鰻を生かす「焼き」の技のお話。キーワードは「水」でした!
無投薬!鹿児島の湧水で育った「旨水(うまみ)の鰻」【前編】
「水」で鰻の味のくせをおさえる
前編でご紹介した、無投薬の鰻たち。うまみがのった鰻に育てたら、鹿児島・志布志(しぶし)市にある「山田水産」に運ばれます。
「無投薬の鰻は、野菜で例えると、いわば“有機栽培”です。環境を整えて薬を与えずに鰻を育てています」と話すのは、産地から店舗まで鰻をつなぐ、山田水産の増田洋亮さん。くせが少ないこだわりの鰻を生かすキーワードは、鹿児島の地下水にあるといいます。
「私たちは養殖から加工の最終段階まで、この地下水を使っています。ぜひ、加工場もご覧ください」ということで、一同は加工場へ。
加工場の入り口に積み重なっている黒い桶。上から地下水が流されています。そしてこの桶の中には生きた鰻の姿があります。
「この作業を『鰻を立てる』といいます。清涼な地下水を鰻に含ませ、体内に残っている餌の匂いなどを排出させるのです」と増田さん。約2日間鰻を「立てる」ことで、鰻の味はよりクリアになるというわけです。
鰻はその後、氷じめにして仮死状態にし、加工場で手際よくさばいていきます。
「電気を流して鰻をしめる方法もあるのですが、そこからかなりのスピードで鮮度が落ちてしまい、表面に『ヌタ』というぬめりが出てしまう。これも雑味のもとです。ですから、鰻をさばく直前まで生きている状態を保ちます。これも、くせの少ない味を維持するためのひと手間ですね」
鹿児島県産の炭火で、中からしっかり鰻を焼く
さばいた鰻は、いよいよ「焼き」の工程に入ります。山田水産の鰻の焼き台は、鰻専門店の焼きの技を参考に作られたオリジナルで、焼き台は全長約70メートル! 圧巻の長さです。レーンに鰻を綺麗に並べ、焼きと蒸し、そしてタレつけを繰り返します。
まず、高温のガスで皮目を焼いたら、皮に穴を開けて蒸しあげます。その後は炭火での焼きに入ります。
「このような鰻蒲焼の焼き台の中でも、うちの焼き台は炭を使っている割合はかなり多いと思います」と増田さん。
「1箇所でも炭床があれば『炭火焼』と言えるのですが、それでは炭火焼きの良さは出ないですよね。うちではポイントごとに炭床を設けて、合計16箇所に炭火を使っているんです」。
ところで、炭火を使うのはどうしてでしょうか?
「炭の香りというのもありますが、何よりも炭火は遠赤外線で、鰻の内部から焼けるというのが特徴です。強火でしっかり表面を焼きたいときはガスを使い、中から焼きたいときは炭火を使う。もちろん、上火はガス、下火は炭火と合わせても焼きます」
使っているのは鹿児島県産の木炭。
「炭というと、備長炭を連想する方が多いと思いますが、備長炭は爆ぜやすいという性質があるんです。爆ぜた炭が鰻につくと、異物混入になってしまいます。そうした意味からも、爆ぜにくい鹿児島県産の炭を選択しています」
全てを機械任せではなく、要所で職人の仕事も入ります。ある程度焼けたところで、骨が残っていないかと確認をし、尻尾の硬い部分を切りおろします。そしてお湯のミストシャワーに鰻を通して、再び焼きの作業へ。
「鰻の脂が残っていると、酸化してえぐみになることがあります。ここに使われている水も、鹿児島のきれいな地下水。透明度が高い軟水です。この鰻が育って、加工する最後の段階まで、地下水が使われているのです」
白焼きができたら、木樽で三年熟成された丸大豆醤油をベースに作られたタレにつけては焼き、を3回繰り返します。粘度の高いタレで最後にコーティングしたら出来上がり。一気に冷却し、冷凍します。
こだわりの鰻のみを使い、地下水で育て、炭火で焼き上げた「旨水(うまみ)の鰻」。「安心・安全」と「おいしい」を食卓に届けたいという、生産者、メーカーの思いが作ったブランドです。
今年のトライアルは、土用の丑の日の期間中、この「旨水の鰻」を、通常価格よりお安い特別価格で予約受付中です。この機会にぜひ、お試しください。
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