

冷蔵庫の温度で食材の鮮度が変わる?各室の適温と温度を保つコツ
「冷蔵庫は冷えればよい」と思いがちですが、実は庫内のスペースごとに適した温度が異なり、それぞれに合った食材を保存することで、鮮度を保ちながら無駄な電力消費も抑えられます。
そこで本記事では、管理栄養士の清水加奈子さんに教わった「冷蔵室」「冷凍室」「野菜室」「チルド室」のそれぞれに合った温度や保存のコツを解説。
日々の食材管理に役立つポイントを、わかりやすくご紹介します。
教えてくれたのはこの人!

清水加奈子(しみず かなこ)
フードコーディネーター/管理栄養士
調理師、国際中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
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目次
冷蔵庫にはスペースごとに適した温度がある

冷蔵庫の中には、冷蔵室・冷凍室・野菜室・チルド室など、いくつかのスペースがあります。
実はそれぞれに最適な温度と適した食材があるんです。
この「適温」を知って使い分けることで、食材の鮮度をキープしやすくなり、無駄なく使い切ることができます。
冷蔵庫の中身をきちんと仕分けて入れることが、おいしさと節約への第一歩です。
■各庫内の最適な温度


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冷蔵室の適温は約0~7℃

冷蔵室の理想的な温度は約0~7℃。
JIS(日本工業規格)では4℃以下とされています。
この温度帯は、食材の鮮度をキープしつつ、菌の繁殖を抑えてくれる、まさに「安心して保存できる温度」なんです。
ただし、冷蔵庫の中は場所によって温度差があります。
冷気は下にたまりやすく、吹き出し口や奥や下段はよく冷える一方、ドアポケットや上段はやや温かめ。
食材ごとに「どこに置くとベストか」を知っておくと、食材を無駄にせず、おいしさも長持ちします。
冷蔵室に適した食材は?

冷蔵室は日常的によく使う食材の保存に最適な場所。
下記のような食材が特におすすめです。
冷蔵室の保存に向いている食材
- 生卵
- 肉、魚などの生鮮食品
- 惣菜・作り置き料理
- 豆腐、納豆、漬物などの発酵・保存食品
- ヨーグルト、牛乳、バターなどの乳製品
- ゼリーやプリンなどのデザート類
- ペットボトルやチューブ型の調味料
- お茶やアルコール類などの飲料
3段の冷蔵室の場合、それぞれの食材の保存に適した場所は下記のとおりです。
食材ごとに適した冷蔵室の保存場所
- 上段:味噌やジャム、飲料などの比較的保存性の高いもの
- 中段:頻繁に出し入れする惣菜やデザートなど
- 下段:お刺身や精肉、卵など、傷みやすい生鮮食品
- ドアポケット:開封済みの調味料や飲み物
昔は卵の定位置といえばドアポケットでしたが、最近の冷蔵庫では「卵は棚で保存」がスタンダード。
温度が安定している冷蔵室の中段や下段に、パックのまま入れておくのが◎。
生鮮食品を冷蔵室で保存する場合は、下段で保存しましょう。
チルド室に空きがある場合は、チルド室での保存がベストです。

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冷凍室の適温は約-18~-20℃

冷凍室の理想的な温度は、約-18~-20℃。
JISでも「家庭用冷凍庫は-18℃以下」が基準とされています。
この温度を保つことで、食材の菌の繁殖を防ぎ、長期間おいしく保存できます。
ただし、冷凍室内の温度は常に一定とは限りません。
扉の開け閉めや、パッキンの劣化、引き出しの場所によっても温度に差が出ることが。
特に、開閉の多いご家庭では隙間なく詰めておくことで、冷気が逃げにくく、保冷効果もキープしやすくなりますよ。
さらに、停電など万が一のときでも、ぎっしり詰まった状態だと冷気が保たれやすく安心です。
ちなみに、冷凍室の冷却方式によって詰め方も少し変わります。
冷気循環式の場合は冷気が通る隙間を確保し、直冷式の場合は隙間なく詰めるほうが効率的に冷やせるといわれています。
とはいえ、一般家庭では開閉の多さを考慮し、冷凍庫内の温度が上がりにくいようにどちらの場合も隙間なく詰めるのがおすすめです。
冷凍室に適した食材は?

冷凍室は、食材の長期保存に便利なスペースです。
特に-18℃以下の低温環境では、微生物の増殖が抑制され、鮮度や風味を長く保つことができます。
冷凍室に適している代表的な食材は下記のとおりです。
冷凍室の保存に向いている食材
- 冷凍食品全般
- 肉、魚などの生鮮食品
- 冷凍用カット野菜
- アイスクリームや氷菓類
- ごはん(炊いたもの)
- 味噌
- コーヒー豆、茶葉
- 湿気に弱い乾物やハーブ類
冷凍焼けや風味の劣化を防ぐためにも、冷凍室の開閉はなるべく素早くが鉄則。
食材はラップやジッパー付き袋、密閉容器でしっかり包み、乾燥を防ぎましょう。
また、管理のしやすさを重視して、日付を書いたラベルを貼ったりするのもおすすめ。
冷凍室を整理しながら上手に使うことで、食材の無駄を防ぎ、毎日の料理もラクになりますよ。

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野菜室の適温は約4~8℃

野菜室の最適な温度は、約4~8℃。
冷蔵室より少し高めなのは、野菜や果物が低温に弱く、凍ってしまうと風味や食感が損なわれやすいためです。
また、野菜室は冷気の流れがゆるやかで、湿度も高めに保たれるよう設計されています。
これにより、野菜の水分が逃げにくく、シャキシャキとした鮮度をキープしやすくなるのが大きな魅力。
最近の冷蔵庫は、立てて収納できる広さがあるものも多く、ペットボトルや長ねぎなどの長い野菜の収納にも便利です。
ただし、上段と下段で微妙に温度差があるため、食材によって置き場所を工夫することで、よりおいしく長持ちさせることができます。
野菜室に適した食材は?

野菜室は、冷気や乾燥に弱い野菜・果物の保存にぴったり。
代表的な食材は下記のとおりです。
野菜室の保存に向いている食材
- レタスや小松菜などの葉物野菜
- トマト、ナス、ピーマンなどの実野菜
- 大根、ニンジン、ごぼうなどの根菜類
- リンゴ、キウイ、ブドウなどの果物(バナナ以外)
- 開封済みの粉類、乾物、お米など
野菜によっては冷蔵室の方が保存に適している場合もあります。
例えば、もやしは野菜室だと傷みやすいため、水に浸して冷蔵室で保存すると長持ちします。
また、葉物野菜やトマトなども低温を好む場合があるので、スペースがあれば冷蔵室に入れるのもひとつの手です。
買ってきたお寿司などのごはん類は、冷蔵室では固くなってしまうことも。
食べるまでに3~4時間以内であれば、野菜室の上段に入れておくとおいしさをキープできますよ。
お米の保存にも野菜室はおすすめ。
密閉容器に入れて湿気や虫を防ぎつつ、平らにして収納すればスペースの節約にもなります。

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チルド室の適温は約0~3℃

チルド室の適正温度は、約0~3℃。
冷蔵室よりもひんやりとした“ギリギリ凍らない温度”が特徴で、鮮度をキープしたい生鮮食品の保存にぴったりです。
最近の冷蔵庫には、「真空チルド」や「パーシャルチルド」といった機能が搭載されているものもあり、-1~-2℃というさらに低い温度での保存が可能。
これにより、お刺身や生肉も冷凍せずにおいしさそのまま長持ちします。
また、チルド室は庫内の温度が比較的安定しているため、冷気に弱い繊細な食材も安心して保存できるのがうれしいポイントです。
チルド室に適した食材は?

チルド室は、「冷やしすぎず、でもしっかり新鮮に保ちたい」というときにぴったりの保存スペースです。
チルド室には下記のような食材が適しています。
チルド室の保存に向いている食材
- お刺身、肉、魚などの生鮮食品
- 作り置きの惣菜、サラダ、ケーキなどの調理済み食品
- ハムやソーセージなどの加工品
- かまぼこ、ちくわなどの練り製品
- 納豆、味噌、チーズなどの発酵食品
- バター、ヨーグルト、チーズなどの乳製品
スペースに余裕があれば、葉物野菜の保存にも活用できます。
どの食材を入れるか迷ったときは、食材のパッケージに記載された保存温度の表示をチェックしてみましょう。
「要冷蔵(10℃以下)」や「チルド保存」と書かれていれば、チルド室での保存が適しています。

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冷蔵庫の設定温度は季節に合わせて調整するのが基本

冷蔵庫の温度設定は、季節やご家庭の使い方に合わせて温度を変えることで、食材の鮮度を守りながら節電にもつながります。
例えば、暑い夏は庫内の温度が上がりやすいため「強」設定でしっかり冷却。
一方、寒い冬は自然と冷えるため「中」や「弱」でも十分なことが多いです。
最近の冷蔵庫にはAIセンサーで自動調整するタイプもありますが、基本の調整方法を知っておくと、万が一のトラブル時にも安心です。
冷蔵庫の温度調整のタイミング
冷蔵庫の温度調整は、春や秋の変わり目や、買い物の量が増えるタイミングに見直すのが理想です。
冷蔵庫の温度調整の目安
- 春・秋:中
- 夏:中~強
- 冬:弱
冷蔵庫の温度設定は、外気温だけでなく「中身の量」や「開け閉めの頻度」も関係します。
「冷えすぎて野菜が傷んでしまった」「冷えが弱くて飲み物がぬるい」といったときは、温度設定を見直してみましょう。
まとめ買いをした日や作り置きおかずをたくさん入れた日は、一時的に「強」にしてしっかり冷やすのもおすすめです。

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冷蔵庫の温度調整の方法と便利機能

冷蔵庫の温度調整の方法は機種によって異なりますが、多くはドアにある操作パネルや、庫内のダイヤルで設定できます。
機種によっては、冷蔵室・冷凍室・チルド室などを個別に調整できるタイプもあり、より細かく使い分けが可能です。
加えて、最近では下記のような便利な機能が搭載されているものも。
冷蔵庫の便利機能の例
- 節電モード:必要最低限の冷却で電気代をカット
- 買い物モード:買い物帰りなど食材をたくさん入れた直後に一気に冷却
- AIセンサー:室温やドアの開閉回数を感知して、自動で温度調整
一度、取扱説明書を見返して、ご自宅の冷蔵庫の機能をフル活用してみてください。
冷蔵庫の適正温度を保つための5つのコツ

冷蔵庫の性能をきちんと発揮させるには、温度設定だけでは不十分。
普段の使い方を少し工夫するだけで、食材の鮮度がグッと長持ちし、電気代の節約にもつながります。
ここでは、ご家庭で実践しやすい冷蔵庫の温度管理のコツをご紹介します。
料理は冷ましてから冷蔵庫へ入れる
料理は必ず冷ましてから冷蔵庫に入れましょう。
熱い状態で入れてしまうと、庫内の温度が上がってほかの食材に悪影響を与えてしまうだけでなく、冷蔵庫を冷やすための電力も余計にかかります。
ぬるくなるまで粗熱を取ってから冷蔵庫に入れることが、食材も冷蔵庫も守るコツです。
冷蔵庫内に収納する食材の量は7~8割程度にとどめておく
冷蔵庫は詰め込みすぎず、7~8割の収納が理想です。
パンパンに詰まった状態では冷気が庫内全体に行き渡らず、温度ムラや冷え不足の原因に。
特に、吹き出し口の前は冷気の通り道を作るように空けておくと、冷却効果がぐんと高まります。
ドアの開閉は最小限に、手早く行う
冷蔵庫のドアは「なるべく開けない・開けたらすぐ閉める」が鉄則です。
ドアを開けるたびに冷気が逃げて、庫内の温度が上昇する原因に。
特に夏場はその影響が大きくなるので注意しましょう。
何を取り出すかをあらかじめ決めておくと、時短にも省エネにもなります。
パッキンやドア周りをこまめに確認
冷蔵庫のドアパッキンが劣化すると、隙間から冷気が漏れ、冷蔵庫が冷えにくくなってしまうことも。
また、ラップやポリ袋、食材の一部がドアに挟まっていると密閉されず、冷気が漏れてしまうことがあります。
定期的にパッキンの汚れはふき取り、必要であれば交換を検討しましょう。
設置場所に余裕を持たせる
冷蔵庫は壁から離して設置することで、効率良く冷えます。
周囲にスペースがないと放熱がうまくできず、庫内温度が上がりがちに。
背面は3cm以上、側面と上部は5cm以上空けておくのが理想です。
冷蔵庫を最適な温度に設定して、食材をおいしく保とう
食材は、適した温度で保存することで、よりおいしく長持ちさせることができます。
冷蔵庫は「とりあえず冷やせばOK」ではなく、冷蔵室・冷凍室・野菜室・チルド室などのスペースごとに最適な温度帯があります。食材ごとに保存場所を見極めることで、鮮度をキープしながら食材のロスも防げるでしょう。
トライアルでは、新鮮なお肉や野菜、冷凍食品などをお手頃価格で販売しています。
トライアルで買った食材を適切に冷蔵庫で保存して、毎日の食卓をもっとおいしく、もっとお得に楽しみましょう。

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