
免疫力低下を防ぐ方法や免疫力アップするための食べ物や飲み物とは
ウイルスや病原菌から体を守り、健康を維持する「免疫」機能。健康を維持してくれる大切な防御システムですが、ストレスや運動不足、栄養不足などさまざまな要因によって免疫力が低下すると「風邪をひきやすい」「体調を崩してもなかなか治りにくい」などの悩みにつながりかねません。ここでは、免疫力をアップしてくれる方法や食べ物、飲み物について詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

広田千尋 管理栄養士
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方やご高齢の方への栄養サポート、また赤ちゃんや子ども向けの食事相談など、幅広い年代のサポートに携わる。身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
公式サイト
Instagram:@chihiro_eiyo
免疫力とは
免疫力とは一般的に、体内に侵入してきた病原菌やウイルスなどから体を守る力を指します。
少し難しい話になりますが、免疫機能には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。自然免疫は私たちの体に備わっているもの、獲得免疫は一度体内に侵入してきたものに対して身につく免疫です。
また免疫システムでは、病原菌やウイルスのほかにも、異物やがん細胞を発見して、取り除こうとする働きもあります。
しかし、実際には「免疫力」は目に見えないものであり、定義もないため実は曖昧なものです。また上がりすぎるのも良くなく、バランスの整った状態が理想といわれています。
この記事では、病原菌やウイルスから体を守り、健康を維持するための方法を紹介していきます。
免疫力がアップするとどんなメリットがあるの?

病原菌やウイルスから体を守る免疫力がアップすると、風邪をひきづらくなる、体調を崩しにくくなるといったメリットがあると考えられます。また免疫機能が正常に働いていると、風邪をひいた際に回復を早めてくれるでしょう。
特に感染症の流行しやすい秋から冬にかけての乾燥する時期は、体を守る仕組みを整えることが大切です。
「毎年、何度も風邪をひく」「風邪をひいてもなかなか治らない」といった方は、ぜひ免疫機能が整うように取り組みを始めてみましょう。
免疫力低下の原因やデメリット

免疫力が低下するのは、不規則な生活や睡眠不足、ストレス、バランスの崩れた食生活、運動不足などがあります。これらの原因で、栄養素が不足したり、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて自律神経が乱れたりしてしまうのです。
免疫力が低下してしまうと、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったり、体調不良がなかなか治りにくくなったりするなど、生活の質が低下してしまうおそれがあります。
※自律神経とは、体の機能を調整してくれる神経で、免疫機能との関わりが知られています。活動モードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」によって成り立っており、両者のバランスが大切です。
免疫力を高めるための方法や食べ物
免疫力を高めるには、どのような方法が良いのでしょうか。詳しく見てみましょう。
1.十分な睡眠・休養をとる

免疫力を高めるには、十分な睡眠・休養を心掛けましょう。疲れが溜まった状態では、免疫システムが正常に働きにくくなるデメリットがあります。
なるべく規則正しい生活を行うようにし、疲れていると感じた場合は早く就寝するなど、体をいたわるようにしましょう。
免疫力を高めるには、十分な睡眠・休養を心掛けましょう。疲れが溜まった状態では、免疫システムが正常に働きにくくなるデメリットがあります。
なるべく規則正しい生活を行うようにし、疲れていると感じた場合は早く就寝するなど、体をいたわるようにしましょう。
2.適度な運動を行う
適度な運動により免疫細胞が働きやすくなるため、免疫力アップを助けてくれます。
ただし、激しすぎる運動はかえって免疫機能低下を招くといわれているため、ウォーキングや軽いジョギングなどの適度な運動が良いとされています。
3.免疫機能の維持に関わる栄養素を含む食べ物をとる

免疫機能の維持には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、たんぱく質など、さまざまな栄養素が関わっています。
中でもビタミンDは近年、免疫機能への重要性がわかってきた栄養素でもあります。ビタミンDの1日に必要な目安量は、18歳以上の男女で8.5μgに対し、現状の摂取量は6.5μgと不足ぎみです。意識して取り入れると良いでしょう。
またほかの栄養素についても、下記の食べ物を取り入れた、バランスの良い食事を心掛けてみてください。
免疫機能の維持に関わる栄養素と食べ物の例
栄養素 | 食べ物・飲み物()内は100gあたりの含有量 |
---|---|
ビタミンA | 鶏レバー(14,000μg)・ウナギ(2,400μg)・卵黄(690μg)・ニンジン(630μg)・カボチャ(210μg) |
ビタミンC | 赤パプリカ(170mg)・黄パプリカ(150mg)・ブロッコリー(140mg)・ゴールドキウイ(140mg)・ピーマン(76mg) |
ビタミンE | アーモンド(29.0mg)・なたね油(15.0mg)・オリーブ油(7.4mg)・カボチャ(3.9mg)・ブロッコリー(3.0mg) |
ビタミンD | サケ(32.0μg)・イワシ(32.0μg)・サンマ(18.0μg)・干しシイタケ(17.0μg)・マイタケ(4.9μg) |
たんぱく質 | 鶏ササミ(23.9g)・鶏ムネ肉皮なし(23.3g)・サケ(22.3g)・鶏卵(12.2g)・牛乳(6.6g)・調製豆乳(3.2g) |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
話題の「温活」「腸活」も免疫力アップになる?

話題の「温活」「腸活」と免疫力の関係はどうなのでしょうか。
まず、体を冷やさない・温める活動である温活について見てみましょう。確かに、体温が低い場合は、免疫力が低下してしまうことが知られています。また体が冷えると、血流が悪くなったり、自律神経のバランスが乱れたりして、免疫機能に影響するおそれもあります。
食べ物や衣類の工夫で行う温活とあわせて、筋肉をつけたり栄養バランスを整えたりして基礎体温を上げる取り組みを行うと、より効果的でしょう。
続いて、腸内環境を整える活動である腸活は、免疫力アップに役立つと考えられています。腸は免疫システムの7割が集まっているといわれており、免疫機能の維持に重要な役割を担っています。腸内環境を整えて善玉菌が活発になることで、免疫細胞を活性化させてくれるのです。
腸活には、腸内で善玉菌として働く「乳酸菌を含む食べ物」と、善玉菌を増やす「食物繊維」をとることが大切です。下記の食べ物を取り入れてみましょう。
腸活に良い食べ物
成分名 | 食べ物・飲み物()内は100gあたりの含有量 |
---|---|
乳酸菌 | ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・ぬか漬け・キムチ |
食物繊維 | 切り干しダイコン(乾)(21.3g)・納豆(9.5g)・ゴボウ(5.7g)アボカド(5.6g)・オクラ(5.2g)・ヒジキ茹で(3.7g) |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
「朝食がカギ?!」免疫力を高める食事法

バランスの良い食事を心掛けることで、免疫力アップに役立ってくれるでしょう。さまざまな食べ物を取り入れることで、先程紹介した栄養素が不足しづらくなります。
また、朝食を欠かさずにとることも大切です。朝食には、体温を上げてくれる役割や、栄養素の不足を防ぐ役割があります。
朝食をとる習慣のない方は、簡単な物から始めてみてもOKです。おにぎりやパン、ヨーグルト、果物など、自身の食べやすい物を取り入れてみましょう。
免疫力を高めるのにおすすめの食べ物を使った簡単レシピ
免疫力アップに役立つ簡単レシピを2つ紹介します。
1.切り干しダイコンのナポリタン炒め

切り干しダイコンをナポリタン風の味付けにした炒め物です。
切り干しダイコン(乾)は100gあたりの食物繊維の量が21.3gと豊富で、腸活に役立ちます。またピーマンはビタミンC、ニンジンはビタミンAが豊富であり、どちらも免疫機能の維持に欠かせない栄養素です。
お子さまも食べやすい味付けで、切り干しダイコンのマンネリ防止にもおすすめのレシピです。
調理時間:約15分
費用目安:140円(税込)
材料(2人前)
切り干しダイコン…20g
ニンジン…4分の1本
ピーマン…1個
ウインナー…2本
サラダ油…適量
[A]
ケチャップ…大さじ1.5
ウスターソース…小さじ1
しょうゆ…小さじ2分の1
粉チーズ(お好みで)…適量
作り方
1.切り干しダイコンは流水でサッと洗って水に浸け、そのまま10分置き、水気を軽く絞る。ニンジン、ピーマンは千切り、ウインナーは斜め薄切りにする。

2.フライパンにサラダ油を入れ中火で熱し、切り干しダイコン、ニンジンを炒める。

3.ニンジンがしんなりしたら、ウインナー、ピーマンを加えて炒める。火が通ったら[A]を加えて炒め合わせる。器に盛り、お好みで粉チーズをふる。
![切り干しダイコンのナポリタン炒め ニンジンがしんなりしたら、ウインナー、ピーマンを加えて炒める。火が通ったら[A]を加えて炒め合わせる。器に盛り、お好みで粉チーズをふる。](https://www.trial-net.co.jp/mag/wp-content/uploads/2024/11/免疫力_トラマガ記事内_1600_900_11-750x422.png)
- カロリー…120kcal/1人あたり
- たんぱく質…3.3g/1人あたり
- ビタミンA…117μg/1人あたり
- ビタミンC…19mg/1人あたり
- ビタミンE…0.8mg/1人あたり
- ビタミンD…0.1μg/1人あたり
- 食物繊維…3.2g/1人あたり
2.カボチャの具だくさん豆乳シチュー

カボチャの入った具だくさんの豆乳シチューです。豆乳のあっさりとした優しい味わいで、内側から体がポカポカと温まります。
ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEを含むカボチャ、ニンジン、ブロッコリーを使用しました。また豆乳と鶏ムネ肉から良質なたんぱく質を補給できます。
野菜を小さめにカットするので煮込み時間が短く、ルウ不要で簡単に作れるのがうれしいポイントです。
調理時間:約20分
費用目安:358円(税込)
材料(2人前)
鶏ムネ肉…2分の1枚
タマネギ…2分の1個
カボチャ…8分の1個
ニンジン…3分の1本
ブロッコリー…小7~8房
塩、こしょう(下味用)…少々
サラダ油…適量
薄力粉…大さじ2.5
水…300ml
コンソメスープの素(顆粒)…小さじ1
豆乳(調製)…200ml
塩、こしょう(味付け用)…適量
作り方
1.鶏肉は一口大のそぎ切りにし、下味用の塩、こしょうをふる。タマネギは薄切り、カボチャは一口大に切り、ニンジンは3〜4mm幅の半月切りにする。

2.ブロッコリーは小房に分けて耐熱容器に入れ、ラップをして電子レンジ(600W)で約1分加熱する。

3.フライパンにサラダ油を入れ中火で熱し、鶏肉を炒める。表面の色が変わったらタマネギ、ニンジンを加えて、タマネギが透き通るまで炒める。

4.火を止めて薄力粉を加えてよく混ぜ、水を少しずつ加える。カボチャ、コンソメスープの素を加えて再び火にかける。煮立ったら蓋をして、時々かき混ぜながら弱火で約7〜8分煮込む。

5.野菜がやわらかくなったら豆乳を加えて、煮立たせないように弱火で温め、ブロッコリーを加える。味付け用の塩、こしょうで味をととのえる。

- カロリー…291kcal/1人あたり
- たんぱく質…21.0g/1人あたり
- ビタミンA…316μg/1人あたり
- ビタミンC…75mg/1人あたり
- ビタミンE…6.3mg/1人あたり
- ビタミンD…0.1μg/1人あたり
※価格は2024年9月 スーパーセンターアイランドシティ店 調べ
※販売価格は時期や産地によって変動します。
免疫力アップで強い体を作ろう!
よく風邪をひく場合や、風邪が長引きやすい場合は、免疫力が低下しているかもしれません。毎日忙しい方や食事が乱れがちな方などは、今回紹介した方法の中からできる方法に取り組んでみて、元気な毎日を過ごせるようにしましょう。
※記事は2024年11月時点の内容です。